12water stories magazine Spring issue No.7 (2001 SUNLIGHT LABO)
17名の書き手による小説、詩、エッセイなどが収録された小雑誌。何やら佇まいのよい冊子だなと手に取ったら、冒頭に永井宏の小説が掲載されている。氏が亡くなって間もない頃だったこともあり、気になって買ってみた。
なぜかトレンディドラマ風な都会的設定の短編小説が目立つ中*1、東京・千駄木にある古書ほうろうの日常を綴った「ほうろう日記」(青木美華子)が異彩を放っていた。古書ほうろうは昔から好きな古書店で、昨春に上京したときにも訪れている。独立に至るいきさつに触れたくだりを読み、店に歴史ありと実感。
他の執筆者の中で名前を知っていたのは丹治史彦や島尾伸三のみ。どちらも短いながら読みごたえある佳品でありました。
メキシコ人/パトリック・オスター(1992, 晶文社)
様々なメキシコ人へのインタビューを元にしたルポルタージュ。長いけれども一気に読める。ところどころに著者の主義主張が垣間見られるあたり、ニュージャーナリズムっぽくもある。
短めの散文ばかりを揃えたアンソロジー。少し前に読んだ「主題と変奏」と比べると終始ゆったり、伸び伸びした印象を受ける。喫茶店で読むならこのくらいの匙加減がちょうどいいかも。
*1:2001年の春ってまだそんな雰囲気でしたっけ?店主自身についていうと高校卒業~大学入学の時期に相当するのですが、はや20年前という事実に愕然としますね