キネマ/新聞/カフェー 大部屋俳優・斎藤雷太郎と『土曜日』の時代
戦前のごく一時期だけ発行されていたリベラルな週刊新聞『土曜日』。本書はその発行人である斎藤雷太郎氏への聞き書き(初出は30年くらい前の京都新聞連載)。『土曜日』については鶴見さんの著書を通じて何となく知ってはいたものの、本書を読んでその凄さが初めて理解できた。フランソアが配布場所だったというのは有名なエピソードだと思うのだけど、当時の京都の喫茶店のことまでこんなに詳しく出てくるとは驚き。あと、戦前の映画会社のことも、自分のような門外漢にはさっぱりわからないくらいマニアックに頁が割かれている。99回の長期連載は伊達じゃないということですかね。とにかく今年読んだ中では暫定ベストの一冊。
キャッチャー・イン・ザ・ライ/J.D.サリンジャー著・村上春樹訳
16~7年ぶりに再読。当時読んだのは野崎訳だったはずだが、訳者が違うことを差し引いてもほぼ何も覚えておらず。おかげで全き新鮮さをもって名著を味わうという喜びに浸れたのだった。
翻訳夜話2 サリンジャー戦記/村上春樹・柴田元幸(文春新書, 2003)
「キャッチャー」を読んだらこれもセットで。
「マイ・ロスト・シティー」「バビロンに帰る」/F・スコット・フィッツジェラルド著・村上春樹訳
日本の自然/串田孫一