鶴見さんは1972年からの1年ほど、コレヒオ・デ・メヒコ(メキシコの大学院大学)から客員教授として招聘され、メキシコシティーで過ごしている。本書はそのときの滞在記。タイトルの聖母伝説をはじめ、ヤキ族の暮しぶりや死者の日の祭りなど、視点はあくまでローカル。いとこである佐野碩のことも詳しく出てくる。
スタインベック短編集/ジョン・スタインベック(1954, 新潮文庫)
何度読んでもぐっとくる「朝めし」収録。それ以外は初めて読んだのだけれど、自然に対する畏敬の念を強く感じさせつつ、それでも押しつけがましくならないところにとても好感が持てた。「朝めし」は本書の中でも特に短い話なので、未読の方はぜひ珈琲一杯飲みながらどうぞ。
日本の食生活全集⑮ 聞き書 新潟の食事(1985, 農山漁村文化協会)
昔、全巻(47都道府県+アイヌ、別冊的な2冊で50巻)を格安で購入し、北の方から地道に消化していった時期があった。その後、長く中断したままだったが先日久々に再開。1冊だけ欠けがあるので(たしか徳島)、補充しつつ読み進めていきたい。
本全集(各県版+索引巻、全50巻)は、全国300地点、5000人の話者から「聞き書き」してできあがった世界最大の食文化データベースです(収録料理数5万2000点)。
雪納豆 (岩手)
話者は、昭和初期(1930年頃)、川も海も空気もきれいだった時代に、農村や都会で台所をあずかり、一家のいのちをはぐくんでいた女性たち。
その土地の自然とともに生きる技、すなわち人々はなにを食べ、どう保存・加工・調理し、子どもを育て、暮らしを作り上げてきたかの全体像を表現したものです。これは、今残しておかなければ永久に失われてしまう貴重な記録です。全国のふるさとのおばあちゃんの食と暮らしを伝えるシリーズ:日本の食生活全集 全50巻
どんな本かは上記ご参照。とにかく大変な労作であり、その甲斐をじゅうぶんに感じさせる面白さです。
2013年刊の名著が全頁カラー写真で再刊。110件の掲載店のうち、店主訪問済は10件くらい。ちなみに著者は本書刊行時点で4000件超の喫茶店を訪れていたという。呼吸をするように喫茶するひとだったのだろう。