先ごろ、灯光舎*1から小さな本が刊行されました。「本のともしび」と題して始まったこのシリーズ、第一弾にやってきたのは寺田寅彦の「どんぐり」。
選者が山本善行氏(古書善行堂)と聞き楽しみに待っていたところ、寅彦の教え子・中谷宇吉郎による「『団栗』のことなど」を併録したうえ、寅彦の「コーヒー哲学序説」が二篇を繋ぐという、さりげなくも行き届いた流石のセレクトでありました。橙色のカバーに合わせた三方染付(天地と小口に彩色)、表紙の箔押し題字などなど、手の込んだ造本もすばらしい。手元に置きたくなる一冊です。
わたくし「どんぐり」は昔からたいへん好きな随筆なのですが、真新しい本の美しい書体で読んでみると、これまで馴染んできた岩波文庫版とはまた違った味わいがあります。「コーヒー哲学序説」についても同様。というか今回久々に読み返してみたら、寅彦先生、コーヒー相当お好きですね・・・。「銀座アルプス」(岩波の随筆集四巻、角川ソフィア文庫にも収録)などコーヒーが出てくる先生の随筆は色々あり、あわせて読むのもまた面白そう。
*1:株式会社 灯光舎 - 京都の小さな出版社 代表の面髙さんは『16日間の日記、29日間の日記』(当店本棚にも置かせてもらっています)の「たぶんだぶん倶楽部」メンバーでもあります