もっとソバ屋で憩う/杉浦日向子とソ連・編著(新潮文庫, 2002)
身近なオアシス「ソバ屋」に安らぎを見出す“ソ連=ソバ好き連”の面々が、お薦めの蕎麦屋を紹介するという一冊。ただし、ソ連代表の杉浦日向子女史に言わせれば、主眼はあくまで”大人の憩い”の提案にあり、いわゆるグルメ本でもソバを批評する本でもない。実際、どのお店についても「憩い目線」とでもいうべき独特の物差しでその良さが語られている。
いきなり飛躍する気がしないでもないけれど、書き手であるところのソ連各位が提唱するソバ屋の楽しみ方は、そのままコーヒー屋の楽しみ方に置き換えたとしても特に違和感を覚えない。そもそも「憩い」を着眼点にしていることからして、両者の共通点が窺がえようというもの*1。そういう頭で読み進めていくと、コーヒー屋としても本書は金言箴言の宝庫に思える。
しかし「ソバ屋で憩う」、なんと甘美な響きだろうか・・・。この先しばらくは毎日ザル日和なわけで、頼まれなくとも休みの度にソバを楽しむ気は満々なのだけれど、本書を読んだからには更に貪欲に、ソバ屋で憩いたい所存である。
あ、麺つながりで思い出しましたけれども、「京都街中華倶楽部」の2号(ちゃんぽん特集、非常に読み応えありました*2)なども棚に追加しております。猛暑の折、どなたさまも充実した麺ライフをお楽しみください。