先日聴いた村上Radio*1で、スタン・ゲッツの演奏する曲が流れた。冒頭のメロディには別の演奏で聴き覚えがあり、この機会に曲名を頭に入れようとレコードを引っ張り出してみたら曲名が違う。聴き覚えがあったのは"Eleanore"('53年録音, ”Henry Renaud Quintet”所収)、ラジオでかかったのは"Jumpin' with Symphony Sid"('51年録音, "At Storyville Vo.2"所収)。しかも、単なる異名同曲ではなく作曲者も別だそうで(前者はジジ・グライス、後者はレスター・ヤング)、ちょっと確かめるだけのつもりが余計に気になってしまった。
その後の調べ(という名のWEB検索)により、件のメロディはジジ・グライスが当時親しくしていたゲッツのため、"Jumpin' with Symphony Sid"の原曲に書き足したものであること、また、グライスがゲッツに捧げたという作曲のいきさつから、”Stan’s Blues"の名前でも知られていることなどが判明。”Stan’s Blues"が前述Henri Renaudのアルバムで"Eleanore"としてクレジットされている理由は依然として不明ながら、この二曲は作曲者が同じというところまでは突き止められ、一応すっきり。
しかし、こういう調べものをしていると、ジャズの場合は大抵、めちゃめちゃ詳しい個人ブログや個人サイトに辿り着くのですね。で、お目当てとは関係ない記事も色々気になって読み始めたら止まらなくなって時間を忘れる、というのが半ばお決まりのパターンになりつつある。SNS全盛の現在でも読み応えのあるテキストが多いのはジャズファンの年齢層が高いからなのか、とにかくわたくしのような横着者には有難い限りであります。
"Jumpin' with Symphony Sid"
"Eleanore"
”Stan’s Blues"
*1:第27回『村上作品に出てくる音楽』。ちょっと期待していた"The Star-Crossed Lovers"が流れたのはよいが、あの曲はムーディ過ぎるのか、いつどんなシチュエーションで聴いてもついつい笑ってしまう