珈琲山居のブログ

京都市の珈琲店、珈琲山居(こーひー・さんきょ)です。こちらのブログから、お店に関するお知らせや日々のあれこれをお届けします。

相変わらず

 ぼちぼちと読み終えては、本棚の中身を入れ替えてます。最近はこんな感じです。

 喫茶・珈琲関係では先日紹介した「珈琲の旅 Ethiopia」*1、「美しい純喫茶の写真集」*2もあります。あとは出たばかりの「ホーム・コーヒー・ロースティング」*3。これはあっさりした書名と裏腹に嶋中×旦部著という重量級ですから、明日買いに行ってすぐ読みます。

 

こんな本を作ってきた 図書出版クレインと私/文弘樹(編集グループSURE, 2021)

 著者の文弘樹氏はかれこれ四半世紀、出版業を続けてこられた方。”ひとり出版社”みたいなキーワードを見かけるようになったのはおそらくここ10年くらいだと思うので、なんかもう年季が違う。もちろん出版にまつわる話も多いけれど、著者の半生記がまた非常に読み応えあり、手掛けてきた仕事が個人の歴史と重なることで、一段と奥行が生じている。ちなみに聞き手は黒川創氏。著者とは高校の同級生というのだから驚いてしまった。こんな本はSUREにしか作れないだろう。

 そのSURE、最新刊は書店販売がないとのこと。9月に急逝した那須耕介先生の講義録なので、読まない手はない。またアップします。

2021年11月下旬刊行 新刊のご案内 那須耕介 社会と自分のあいだの難関|編集グループ〈SURE〉

 

ハリール・ジブラーンの詩/神谷美恵子(角川文庫, 2014)

 ジブラーンの詩は「子どもについて」を少し前に読み*4、ほかの作品も気になっていた。その「子どもについて」は『予言者』という作品集に収録されたうちの一篇だった。「結婚について」「与えることについて」「宗教について」・・・一見とっつきにくく思えるも神谷美恵子の解説が効いていて、どれもすんなり入ってくる。

 

日本文学史序説(上)/加藤周一ちくま学芸文庫, 1999)

 著者の該博な知識と、それを整理し、まとめあげ、日本史的に叙述する鮮やかな手際に感嘆しているうちに終わってしまった。もうちょっと骨が折れるかと思っていたのだけど、こんなに面白く没頭するとは(一読で中身が頭に入ったかどうかはまた別の話です)。あなおそろしや。

 

回想のカザルス/井上頼豊(新日本新書, 1996)

 カザルス先生への超ロングインタビュー本「カザルスとの対話」(コレドール著)に手をつけるも、前提知識の乏しさにもどかしさを覚え一時中断。そんな折、本書を見つけまよわず購入。先生の生涯が歴史的背景とともにコンパクトにまとめられ、「~対話」の概説・副読本にはうってつけの一冊だった。ちなみに著者はチェリスト。来日時に受けたという公開レッスンの様子が詳しく描かれているのが興味深い。また、祇園の一力茶屋で歓待を受ける先生の図、など、写真図版が多数収録されているのもファン?には嬉しいところである。

 

つよい体をつくる離乳食と子どもごはん/山田奈美(主婦と生活社, 2015)

 ふだんの食卓の延長で、無理なく取り組めそうな提案がいろいろ。離乳食のうつわに酒器を使うべし(例:材料を入れた猪口を蒸篭に入れて蒸しあげれば一品できあがり)とのアイデアに触れ、余らせている杯やら猪口やらの活用法を見いだせた気がしている。

 本書はイラストレーションを林舞さんが担当されていた。林さんは以前「ぱんとたまねぎ」名義で京都でも活躍されていた方。現在は博多にて、テキスタイルメーカー”Maison HAKOSHIMA”とその直営店(喫茶併設!)を営んでおられる*5。先日、こちらの特製菓子”SHIMA”をいただく機会に恵まれたのだけれど、ほんとうに絶品だった。堅めのバームクーヘン好きはマストですよ。お菓子オブザイヤー。

 

ニューヨーク紳士録/常盤新平(弥生書房, 1983※画像は講談社文庫)

 未読のタイトルを見つけるとつい買ってしまう、常盤新平の米国モノ。NewYorkerまわりの作家や編集者を中心に、氏のエッセイではお馴染みの面々が多数紹介されている。お馴染みとはいえ顔までは知らないという人もけっこう多い。その点、本書は肖像写真が併載されているので、へー、こんな顔してたんだ、といった発見もできて楽しい。