先日はコーヒー豆の入れ替えについて書きました(コスタリカがいよいよ無くなるので近く手配します)。一方、店内本棚の書籍も、気づかれないくらいの頻度と冊数で引き続き入れ替えしています。最近追加したのはこのあたり↓。しかし、面白そうなポッドキャストやWEB媒体の連載記事などが目に入るとつい聴取濫読してしまい*1、ただでさえ確保しにくい紙の本を読む時間がさらに減っているこの頃です。
社会と自分のあいだの難関/那須耕介(編集グループSURE, 2021)
表現の自由、移行期正義、遵法責務の3主題をめぐる、セミナー形式の論考。とっつきやすいが、かみ砕いて呑み込むにはすごく時間がかかる(しかも何度も反芻しないと消化できない)という、ある意味で読書の醍醐味に満ちた一冊。著者は昨年急逝し、もうすぐ一周忌を迎える。
ジャズ・カントリー/ナット・ヘントフ(晶文社, 1979)
アメリカ、自由の名のもとに/ナット・ヘントフ(岩波書店, 2003)
那須先生の本にも出てきたナット・ヘントフ。2冊ともに偶々、同じ古書市で見つけた。ジャズ・カントリーは同人誌SUMUSの丸ごと晶文社特集で何人かが取り上げていたこともあって気になっていた小説。青春小説という紹介を目にした記憶があったけれど、少し苦味もきいていて40歳の自分にもしっかり響く。
岩波の方は2段組で350頁超とかなりのボリューム。ジャズについてのコラムもあるにはあるが、タイトルのとおり米国における「自由」を様々な角度から論じた文章が大半を占めていて、修正第1条をはじめとした米国の憲法・憲法史をきちんと勉強したくなる。
ジャズ・スタンダード100 名曲で読むアメリカ/青木啓・海野弘(新潮文庫, 1988)
ティンパンアレーの時代(1900~1910)から10年ごとに章立てされ、紹介される曲には発表年が付されているので、古いと思っていた曲がそうでもなかったり、モダンなメロディなのにかなり古いことがわかったりするのがけっこう面白い。
ここはおひるねできるほし/服部福太郎(エフエフ・ブックス, 2022)
めからあふれるもの これなんだっけ/服部福太郎(エフエフ・ブックス, 2022)
水彩の淡い色づかいと、夢現をたゆたうような文章がしっくり馴染んでいる。版元のエフエフ・ブックスはエムエム・ブックス内の自主レーベル。『ここは・・・』の初版はすでに品切しており、いま書店で見かけることはなかなか少なそう。どうも京都には取扱店が無かったようで、せっかくなら名乗りをあげればよかった。
盛岡のBOOKNERD店主が綴る自伝的エッセイ。こちらのお店は自分が盛岡を訪れた頃にはまだ影も形も無く、くどうれいんの「わたしを空腹にしないほうがいい」(改訂版)の版元であることも含めて、割と最近まで知らずにいた。冒頭何枚かのカラー写真頁に盛岡市内の中心部を流れる中津川も出てきて、盛岡ファンとしてはそこにもグッとくる。どのあたりにあるのだろうと思って地図を確認したら、黄精飴の長沢屋や盛岡駄菓子の関口屋のすぐ近くだった。いい場所じゃないですか。
今日のタイトル「BOOKS ARE MAGIC」は、そのBOOKNERDのオリジナルポスターに使配された一言。ニューヨークに同名の書店があるらしく、そこからとったのかもしれないけれど詳細は不明。