『底にタッチするまでが私の時間 よりぬきベルク通信 1号から150号まで』出来上がりました! https://t.co/RYjDClWMuS pic.twitter.com/afYDntkVWp
— 木村衣有子/YUKO KIMURA (@yukokimura1002) 2021年10月28日
ビア&カフェBERG(ベルク)。東京・新宿の駅ビル内に店を構えて30年以上となる個人経営店です。いわゆる駅ナカ飲食店という業態ながら、味・居心地・サービス、何ひとつ揺るがせにしない真摯な姿勢に熱烈なファンも多く、私自身、上京の折には可能な限り訪れるようにしてきた、好んでやまない店のひとつでもあります。
本書『底にタッチするまでが私の時間 よりぬきベルク通信 1号から150号まで』は、同店が1994年から刊行を続ける月刊フリーペーパー、「ベルク通信」2006年までの過去記事を選りすぐった一冊です。このフリーペーパーのように草の根的な情報発信をこつこつ続けてきたということも、ベルクがベルクたる所以といいますか、ベルクらしさを特徴づける大きな要素であると思います。昨日、あっという間に読み終え、改めてその意を強くしました。
編集・発行は『コーヒーゼリーの時間』『銀座ウエストのひみつ』などの喫茶系をはじめ、食まわりを中心とした文筆活動でつとに知られる木村衣有子さん。ちなみに当店本棚には、近年の書評集成『味見したい本』、昨年の自主刊行本『しるもの時代』も並べております*1。
さて、すっかり前置きが長くなりましたが、ベルクに木村さんという、わたくしがリスペクトしてやまないお二方の組み合わせですから、これはもう取り扱わないわけにはまいりません。ということで限定少部数ながら、当店にて販売する運びとなりました。過去に刊行された“ベルク本3部作”*2とあわせて、ぜひともこの機会にベルクの魅力を味わっていただければ。
以下、木村さんご自身による概要紹介と目次です。
「ベルク通信」の発行がはじまったのは1994年の5月。第1号の「店長よりご挨拶」と題したコラムの中には、こんな言葉が見つかる。
「妙な言い方になりますが、読者となられるお客様に、少しでもつけいる隙を差し上げたい」するとこの一冊も、隙の産物ともいえる。1号から150号まで、それは1994年から2006年までの記録でもある。そのあいだの出来事はもはや昔話といえるのではという感もなきにしもあらず、とはいえ「ベルク通信」の中からはきっと普遍的な価値観を映した文章を数多見つけ出せるはずだと思った、私の予想ははたして裏切られなかった。(まえがきより)
もはや新宿の代名詞ともいえる小さな飲食店『ビア&カフェ ベルク』の月刊フリーペーパーから選び出した記事や警句が一堂に会する一冊です。目次:
・よりぬきベルク通信(いらっしゃいませ/お客/コーヒー/味/ここで働く/ビール/無駄なものを削れば必要なものを守ることには、ならない/誰かの記憶と結びつかなければ始まらないとすら私は思うのです)
・グラビア「近頃のベルク」
・エッセイ「サイレントベルク2021春」「ベルクに行けばなんとかなる」木村衣有子
・編集後記「駆け出しベルク通信、今日に至る 愛染恭介(「ベルク通信」編集長)」
【参考文献】
筑摩書房 新宿駅最後の小さなお店ベルク ─個人店が生き残るには? / 井野 朋也 著, 柄谷 行人 著, 吉田戦車 著