珈琲山居のブログ

京都市の珈琲店、珈琲山居(こーひー・さんきょ)です。こちらのブログから、お店に関するお知らせや日々のあれこれをお届けします。

 日本文学全集30 日本語のために/池澤夏樹編(2016 河出書房新社

 本書は「日本語」をテーマに編まれた、このシリーズではおそらく異色の一冊。祝詞、方言、漢詩、宗教などジャンルも時代も様々な文章が収録されている。読んだことがあったのは鶴見さんの「言葉のお守り的使用法について」と大野晋の「日本語練習帳」からの抜粋くらいだったが、何となく面白そうと思って図書館で借りていた。一応読み終えて印象に残ったのは、伊藤比呂美訳「般若心経」、丸谷才一「文章論的憲法論」、中井久夫「私の日本語雑記」など。中井氏は鶴見さんの鬱病の治療にあたった精神科医だったかしら。論旨は明晰で平易な文体、読んでいて気持ちがよかった。

 

最後の読書/津野海太郎(2018 新潮社) 

最後の読書

最後の読書

 

  鶴見さんで始まって須賀さんで終わるという構成に抗えず手に取ったが最後、一気に読み終えてしまった。本をめぐる身辺雑記という体で綴られているものの、時々さりげなく深みに入っていて、そこがまた面白かったりする。