珈琲山居のブログ

京都市の珈琲店、珈琲山居(こーひー・さんきょ)です。こちらのブログから、お店に関するお知らせや日々のあれこれをお届けします。

五右衛門のこと

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こんにちは、いやま(ゆ)です。

五右衛門に通い始め、近くに越してきてから3年弱。
茶店オープンのため、もう少しで引っ越すことになりました。
引越しを前に、五右衛門のことを少し書いてみようと思います。
 
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まず「五右衛門」とは、左京区上高野*1にある古民家の屋号。
その古民家に、「くらしごと」というゆるやかなコミュニティができたのが5年ほど前*2
集ってきたのは、近くの里山を整備する人、田んぼと畑を耕す人、おくどさん(かまど)で料理する人、棉を育て糸を紡ぎ、染めて織る人、藍を育てる人、パンを焼く人、珈琲を煎る人、子供と遊びにくる人、子供図書館を開く人使う人、音楽レコーディングする人、中国茶を淹れる人、庭づくりをする人、太鼓たたく人、野草を料理する人などなど、、
 
私は、棉を育て糸を紡ぎ織ることに興味があり、3年ほど前に五右衛門に来てしばらくの間、むろやさんからそれを教わっていた。
通い始めた頃、火曜日は皆でごはんを作るというので居させてもらったら、なんと、かまどでごはんと味噌汁を炊いているし、薪は近くの山のだというし、やたらと美味しいし、こんな同世代の人たちがいるのに驚いた。たくさんの子供たちと、お母さんたちと、ごはんを食べて五右衛門の庭を眺めていたら、じわーーっと懐かしさのようなものが自分を満たしてしまい、上高野の綺麗な空気にも感動して、初めて五右衛門に来た3ヶ月後くらいにはもう引越していた。(よく夫がついてきてくれたなあ。)
 
それからは、糸紡ぎ、織り、柚子酢作り、大豆の脱穀、糀作り、味噌作り、野草摘み、らっきょう漬け、田植え稲刈り、おくどさんの使い方、薪割りなどなど、色々なことを「くらしごと」のメンバーから教わった。どれも、リードしてくれる人がいて、一緒にやらせてもらうばかりだったけれど、自分にも少しは生活力が身についた感じがして嬉しかった(と、過去形で書いたけどこれからも少しずつ続けたい)。
 
「くらしごと」は、コミュニティではあるけれど、繋がりはゆるやかで風通しが良い。私のように集団行動が苦手な人でもそっと混じっていられる空気。基本的に、何かやりたい人が「やるぞー」と宣言して自分でやり、賛同した人が手伝う。
私たち夫婦は、数年内に珈琲店を開きたいと思っていたので、コミュニティカフェを月1回担当させてもらい、夫は五右衛門のキッチンを焙煎のためにお借りしていた。最初にモーニングをお客さんにお出しした時のドキドキを今も覚えている。実践の場所があるというのは本当にありがたかった。
 
4,5年前、会社や肩書に自分を委ねずに、どうやって食べていけるかな?と考えていて、五右衛門に最初来たとき、その道を模索するような気持ちもあった。*3でも、この五右衛門での3年間で逆に、この道で行く、と特に決めなくても自然に生きてればいいのかな、と思うようになってきた。少し野菜を育てたりして。
そもそも世の中には、食べずに生きている人とか、省エネで生きている人*4がいて、その人たちがとても軽やかで楽しそうなことも、だんだん広まってきたと思う。
 
比叡山の麓のきれいな空気、畑、五右衛門、引っ越すとはいっても、自転車で30分。
これから、珈琲店を始め、ちょっと街で暮らすことになるけれど、たまに上高野に来ては力をもらおうと思います。
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*1:最寄り駅は出町柳から叡電で10分の三宅八幡

*2:その頃を私は知らないけれど、里山整備の拠点からスタートしたそう

*3:けっこう前のめりだったと思います。

*4:秋山佳胤さん、ささたくやさん、大原扁理さんなど。ほかにもたくさん