珈琲山居のブログ

京都市の珈琲店、珈琲山居(こーひー・さんきょ)です。こちらのブログから、お店に関するお知らせや日々のあれこれをお届けします。

「うた」で2冊 ~Add some books to my shelf <20>~

日本語の新しい方向へ/鶴見俊輔大岡信谷川俊太郎谷川賢作、覚和歌子、さがゆき(熊本子どもの本の研究会, 2003) 

日本語の新しい方向へ

日本語の新しい方向へ

Amazon

 NPO法人「熊本子どもの本の研究会」*1が、2003年に開催した設立20周年記念イベントを書き起こした一冊。講演(鶴見)、詩の朗読(谷川俊、覚)、演奏(谷川賢、さが)、対談(谷川×大岡)、登壇者を並べてもわかるとおり、日本語といいつつ主には「詩・歌=うた」に焦点があてられている。とにかく本として読み応え十分の内容であるけれども、これを熊本で、一日かけてやりきってしまう主催者の心意気にはシャッポを脱ぐしかない。自分がもし観に行っていたとしたとして、きちんと消化できたかどうか甚だ怪しく、そういう意味でもありがたい書籍化である。ちなみに装丁は北沢街子さん。なのでぱっと見たときはSUREの本かと思った(著者名もどことなくSUREっぽいし)。 

アメリカは歌う。/東理夫(作品社, 2010) 

「うた」つながりでもう一冊。こちらは音楽を通して、アメリカの文化と社会をぐいぐい掘り下げている。主題は鉄道工事に関する労働歌、アパラチアのマーダー・バラッド、アフリカ系アメリカ民謡、C&W。ジャンルがバラバラなこと自体、アメリカという国の成り立ちと複雑さをよく物語っている。以前、たいへんおもしろく読んだ「アメリカは食べる。」*2と同様、これも読書の醍醐味に浸れる一冊。さっき上に貼るリンクを探していたら、2019年にコンプリート版が出ていることが判明・・・。コンプリート版への追記内容は未確認なれど、こちらの初版でもじゅうぶんに満足できます。