シュークリーム/内田百閒著・山本善行選(灯光舎, 2023)
灯光舎「本のともしび」シリーズ、今回は内田百閒です。さらっとした表題作もよいですが、教え子を追悼した「長春香」が気に入りました。こんなふうにユーモア少なめの作品もあるのかと新鮮でした。本のともしびは本書で第一期がおしまいとのこと。当店は灯光舎さんのご近所ということもあり、シリーズは全5冊揃っております。どれもコーヒーのお供にちょうどいいんですよね。造本も素敵ですから、未見の方はぜひ読みにいらしてくださいませ。
さみしさは彼方 カライモブックスを生きる/奥田直美・奥田順平(岩波書店, 2023)
カライモブックスが長く発行を続けているフリーペーパー「唐芋通信」。毎号ぐっとくるお二人の文章(と、みっちんの箴言)を楽しみに読んできたのですが、直美さんによる京都新聞掲載の随筆や書き下ろしなども加えてこのほど書籍化。うちは昔からファンですので、一気読みできる幸せをかみしめました。ちなみに、表紙にあしらわれた花の絵はみっちんの作品だそう。
そのカライモブックスは、水俣への移転や本書の刊行もあって最近メディア掲載が続いています。お店の営業は4月いっぱいということで、なんとか滑り込みたいところ。
古書店として生きる10年を綴った随想集『さみしさは彼方』 思いを言葉にする力で、言葉の向こう側へ(1/2)〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)
前号からはや半年。そろそろ探さねばと思っていたところ、本誌同人のA女史からご恵贈いただきました。ありがたや。A女史の作品は今回も喫茶モチーフ。このままシリーズ化を希望したい。
喫茶といえば今回は連載も喫茶づいていて面白い。小坂章子さんの「珈琲」(56頁)にコーヒーミルと愛猫キビの写真が載っていますが、ミルに据えられたホッパーにご注目いただきたい。これはうちのと同じく、木工作家岩橋くんの手づくり品。そんな彼の個展は博多赤坂けやき通り・ギャラリーBINにて来月5/6、7の二日間です(リマインド)。