最近ようやく書店に出かける余裕が出てきまして、本棚の中身も少しだけ動き始めました。しかし4カ月ぶりくらいで訪れた新刊書店では物量に圧倒されたか、探すつもりの本を探し忘れ、買うつもりのない本を買い、ぼんやりしたまま帰宅という体たらくでありました*1。
書店にご無沙汰していた間(1~4月ほぼ丸ごと)は、積ん読をすっきり解消しつつ、久々に図書館のお世話にもなりました。書店通いがすっかりルーティーン化した身には、棚にある本どれでもタダという図書館のあり方に面食らってしまうところがなきにもあらずでしたが、主に文庫本を借りることが多かったですね。子を抱きかかえてあやしながら読もうなんて思うと、ハードカバーや雑誌は片手でめくりにくくて手が伸びないのです。あと、文庫を好んだのには或るとき偶々図書館で借りた坪内祐三「文庫本を狙え」シリーズ*2をまとめ読みしたのも影響している気がします。そういえば同書を皮切りに坪内さんの著書を短期間に色々読んだので、読書傾向が若干坪内ナイズされ、明治大正期の文壇やら私小説やら出版史やら、今まで全然触れてこなかったジャンルにも興味が出始めました。そうすると改めて、昔の中公文庫とか講談社文芸文庫のシブさ*3に目がいくようになりますね。
閑話休題。以下いずれも店内書棚とマガジンラックに並べてございます。喫茶のお供にどうぞお楽しみください。※こんな感じの棚更新情報は今後も不定期に続けてまいります*4。
月金帳 2020 April-September 第1集/牧野伊三夫・石田千(港の人, 2021)
版元である「港の人」noteの連載を書籍化したもの。この往復書簡形式の連載はいまも続いており、続刊の予定もあるようだ。となると、noteで未読の記事をクリックするのはためらわれる(と書いているそばからちょっと読んでしまったことを正直に白状します)。
酒場のぷりンス/ぷり a.k.a 星葡萄(トラツグミ出版, 2022)
面白そうな食エッセイZINEを見つけ、とりあえず確保することに。A5版60頁とほどよいボリュームでどこから読んでもよく、珈琲一杯のお供に最適な一冊だった。こういうのは一度逃すと次には意外と会えかなったりする。書店を訪れる醍醐味のひとつである。
ぽかん 9号(ぽかん編集室, 2021)
昨年どなたからだったか、久々にぽかんが刊行される、山田稔さんのエッセイも載る、と聞いて以来楽しみにしつつ、気づけば半年も経っていた。ようやく手に入れるやするすると読了。とてもよい時間だった。
いつも読み応え充分な冒頭のドキュメンタリー風、今号は玉川奈々福(浪曲師)への取材記事。直前に読んだ「ぽかん」9号に、小沢信男「東京骨灰紀行」の担当編集者として彼女の名前が出てきたところだったのでひとり驚く。