珈琲山居のブログ

京都市の珈琲店、珈琲山居(こーひー・さんきょ)です。こちらのブログから、お店に関するお知らせや日々のあれこれをお届けします。

Add some books to my shelf <13>

マラマッド短編集/バーナード・マラマッド 鹿島祥造訳(1971. 新潮文庫

マラマッド短編集 (新潮文庫 マ 3-1)
 

  中身は著者最初の短編集『The Magic Barrel(魔法の樽)』を一冊丸ごと。自分としては『レンブラントの帽子』以来のマラマッドである。お、マラマッド!と思って買ったはよいものの、途中に30頁ほどの落丁があり、訳者あとがきで名作に挙げられていた「最後のモヒカン族」が殆ど抜け落ちている。こんな大規模な落丁は初めてだったものだから一瞬気づかず、ショートショートかと思ってしまった。それはさておき、表題作はじめどれもさすがに面白い。

 

 ユリイカ 2020年1月号 特集*和田誠

  故人所縁の各氏による対談・評論・追悼文に交じって、和田さんご自身の文章*1も。そのひとつ「映画とジャズ」が簡潔で要を得たさすがの出来。と思ったらその初出は1960年=24歳当時の仕事であった。まったくどこまでいっても驚かされるお方・・・!

 ジャズといえば、「和田誠とジャズ」をテーマにした村井康司氏の論考もよかった。先日当ブログで取り上げたスタンダード解説本「いつか聴いた歌」の収録曲について、Spotifyの自作プレイリストを公開されている。プレイリストにはQRコードからアクセスできるようになっているのだけど、スマートフォンを持っていないこともあって未だにQRコード読み取りをやったことがないわたくし。でもこのプレイリストはとても気になる。あと、和田氏が手がけた『映画とジャズ』という長いエッセイが載った雑誌があることを知り、こちらも探してみようと思う。

 

 これはのみのぴこ/谷川俊太郎 文・和田誠

これはのみのぴこ

これはのみのぴこ

 

  当店は小さなお子様連れのお客様にもしばしばご利用いただいており、絵本もちょっとずつ増えました。こちらはよく行く出町の古本屋にて。あそこは絵本たくさんありますね。

*1:『FUN AND FUNCY FREE』からの再録。まだ詳細調べてないですが何かの会報誌らしいです

珈琲時報(2)

・今週のラインナップは先週と変わらず、です。ただし暫くの間、産地別の一種類(今は中深煎りのグァテマラ)は割と短い間隔で入れ替えようと思っています。この先控えているのはコロンビア、メキシコなど。

・またまた宣伝。週末10/25(日)、東京・荻窪にある「日本ネルドリップ珈琲普及協会の店」にて、HiFi Cafe吉川さんが自家焙煎珈琲を淹れられます。あの深煎りネルドリップが久々に味わえるチャンス!

・さらに中央線つながりでもう一件。「京都・六曜社三代記 喫茶の一族」の挿画を手掛けた北林研二氏の原画展が、高円寺のAmleteron*1で開催中。今回の展示に合わせて限定復刻される音源*2とかインドの豆が描かれたトートバッグ*3とか、ノベルティグッズが異常に魅力的です。会期は11/3(火・祝)まで。

 蛇足ながらわたくしにとって高円寺といえば名曲喫茶ネルケン*4でありまして、喫茶好きな方にはぜひとも展示とセットでの訪問をおすすめします(ネルケン、変わらず営業されてるとよいのですが・・・)。特にこの日曜日は隣駅を降りてすぐのところで吉川さんが珈琲淹れてるわけですから、高円寺~荻窪のハシゴ確定ですね。うーん、東京近郊のひとが羨ましい。

*1:アムレテロン。「読書と手紙にまつわるお店」ですってよ!

*2:

www.instagram.com

*3:

www.instagram.com

*4:同店マダム鈴木冨美子さんのロングインタビューが掲載されたリトルプレス「北と南 第3号」は当店書棚にて閲覧に供しております

珈琲時報(1)

・きのう、四条河原町のギャラリーにしかわさんにアソートセット(30g×5袋の特別お試し版)を納品しました。気づけば3か月ぶりくらい。今回の5種類はエチオピア(中煎り)、ブレンド(中~中深)、ボリビア(中深)、東ティモール(中深)、南インド(深)。ちょっとずつ色々試したいという方にはオススメです。

 30gは大体3杯分目安という意味合いです。が、1杯あたり12-3g使われる方もいらっしゃるかと思います。そんなわけで余りが出やすい容量ゆえ、半端な種類をブレンドするのも面白いかと。店主は時々、インドに少量のエチオピアを合わせて飲んだりします。

 

・店のラインナップには、先週から中深煎りにグアテマラを追加しています。ボリビアの代替です(12月には再入荷します)。加えてスポット的に中煎りコスタリカもお出ししていたのですが、お知らせする間もなく売り切れに・・・。同じ中煎りでも、いつものエチオピアとはまた違ったさわやかな風味でした。タイミングが合えばまた仕入れるかもしれません。

 

・ギャラリーきとうで開催されていた「喫茶店の時代」展。結局行けぬまま終了。やはりというか盛況だったようです。「もうしばらくはこういう展示はないと思います」とのこと*1。うーん惜しいことをしました。行かれた方、感想お聞かせください。

 

・以後、珈琲についてはこんな感じでちまちま更新していきたいと思います。

10/23(金)~11/3(火・祝) スリップウェア・井上尚之展@ロク

 

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フライヤーはスリップウェア特有の模様が大写しに印刷されるという渋い仕上がり。

 この春に開店10周年を迎えられた岡崎のロクさん。標記の企画展が23日から開催されます。先日お知らせを頂戴しまして、おお遂に!と思いました。というのは、当初の会期がちょうど半年ほど前、コロナ禍による営業自粛要請と重なりやむなく延期となっていたためです。元々頻度の少ないロクの企画展、まして節目の10周年ですから、橋本さんご本人としても満を持してといったところでしょう。そのあたりのことはいつも通りお店のブログにも記されています*1。ともかくいろいろな意味で慶賀なイベントであることは間違いなく。あらためまして10周年、おめでとうございます。

 なお、本展は最初の3日間と土日祝のみ、来店に予約制を採用されるとのこと。あわせてブログをご確認ください。

www.rokunamono.com

*1: 10周年記念企画展 | ロク この、ブログにいろいろを書くというスタイルは当店も影響を受けていたりするのですが、更新頻度は全然真似できません・・・

10/17(土) 新月のお弁当販売 by 円卓さん

 円卓ファンに朗報!5月に始まった新月と満月のお弁当販売、今月から再開です。

www.instagram.com

 これまで通り、お弁当は円卓さんSNS*1へのダイレクトメッセージでご予約の上、円卓アトリエ、または市内数店舗のいずれかで受け取る仕組み。当店も引き続き、受け取り場所に指定いただいております。
 ちなみに今週末、10/17(土)のお弁当はオーソドックスな海苔弁。円卓さんが手がける海苔弁となればこれはもう期待せずにいられません。ご予約締切は10/15(木)の18時です。もう間もなくですから皆さまお忘れなきよう・・・!


 

KYOTOGRAPHIE マリー・リエス展のご案内(続)

 WEBメディア「THE KYOTO」に、アトリエみつしまオーナーの光島貴之さん、マリー・リエス展キュレーターの天田万里奈さんへのインタビュー記事が掲載されています。聞き手は村松美賀子さん。

 本展は元々、堀川御池ギャラリーで予定されていたそう。それがKYOTOGRAPHIEの延期によって使えなくなってしまい、会場を探しているうちにオープン間もない光島さんのギャラリーに辿り着いたと。光島さんと展示のテーマが一体不可分というくらいにハマっているので、このいきさつには驚いたし、近くでお店をしている自分としては僥倖というほかありません。なんていいながら、会期も半ばを過ぎてまだ行けていない・・・。来週こそはと思っております。

 前編の最後、光島さんおすすめスポットに一乗寺の喫茶店ウッドノートが挙げられています*1。あそこの野菜サンドはとても美味しいです。すぐ近くにはマヤルカ古書店もあります。一乗寺散策の際にはセットでぜひ。

*1:当店もご紹介いただきまして有難いことです

It's Only a Paper Moon

 昨日は月が綺麗に見られたようですね。先週、京都新聞の一面コラムは月にまつわる歌がテーマでした。何曜日だったか、ペーパー・ムーン(It's Only a Paper Moon)の解説に「ペーパー・ムーンは記念写真の背景として昔のアメリカでは人気があった」とあり、へえーと思って画像検索したところ、大きな三日月に腰かけた人物、という構図の写真がわんさか出てきてアレか、と納得。あと、同じ頃に和田誠の「いつか聴いた歌」を読み返していたらペーパー・ムーンの作曲者がOver the Rainbowのハロルド・アーレンと書いてあって、それにもまたまたへえーとなったのでした。

 前よりジャズをよく聴くようになったので、スタンダード曲にも改めて興味が湧いておおります。ペーパー・ムーンについては昔からナット・キング・コールの歌唱*1で馴染みがありましたが、最近買ったオスカー・ピーターソンのレコード*2では、彼自身がヴォーカルをとっていました。図体に似合わぬ?優しめな歌声でけっこう良かったです。


Oscar Peterson sings Nat King Cole 'It's only a paper moon' 

 

いつか聴いた歌 (文春文庫)

いつか聴いた歌 (文春文庫)

 

  ここ数ヶ月、気になった曲をこの本で探すと大抵載っている。さらっとエッセイのような顔をして辞書のように使える一冊。今更ユリイカ和田誠追悼特集号を読んでいるのもあるけれど、この方の仕事の幅と深さには本当にまいってしまう。

*1:名盤「After Midnight」。彼の音楽は小編成の方が断然好みである

*2:タイトルは「Blues Etude」だけれど今CDで出ているのとは曲目が全然違う。たぶん日本独自の編集盤