珈琲山居のブログ

京都市の珈琲店、珈琲山居(こーひー・さんきょ)です。こちらのブログから、お店に関するお知らせや日々のあれこれをお届けします。

明日まで冬休み

 先日ご案内のとおり、当店ただいま冬休み中です。緊急事態宣言の再発令も重なり、ここぞとばかり腰を据えてゆっくり過ごしています。淡々と積ん読を解消しつつ、ふだんは滅多にしない昼寝まで。久々にちょっと立ち止まってみたら、意外と疲れが溜まっていたことに気づいた小正月でした。なお、営業再開は明後日1/18(月)10時でございます。

 【休み中に読んだ本と雑誌】

・なんとかと なんとかがいた なんとかズ/安田謙一(プレスポップ、2012)

 Spotifyにアクセスできる環境だと、紹介されている音源を逐一チェックしてしまうので頁が全然進まない。そんなわけで、ちまちま読み進めてはいたのに半年近くかかってしまった。時折挟み込まれる、少しだけセンチメンタルなトーンの文章(例:304頁「ナンシー&昇」)にはやはりグッとくる。

特別な一日山田稔平凡社ライブラリー、1999)

 山田先生の本はこれくらいの文庫サイズで読みたい。「わがオーウェル」、「ヘンリ・ライクロフト」、「蠟梅忌まで」、どれもいわずもがなの味わい深さ。

・喫茶店の時代 あのとき こんな店があった/林哲夫ちくま文庫、2020)

 解説の内堀弘氏と同じく、自分にとっても事典のような一冊になるだろうと思った。秋の企画展に行けなかったことが返す返すも悔やまれる。

・私は街を歩いた/串田孫一実業之日本社、1959)

 今まで読んだクシマゴ随筆集の中では一番とっつきやすいかも。これは自分が山に登らないことの証左なのだろうか。

 ・ルヴァンとパンとぼく/甲田幹夫(平凡社、2019)

 巻末、按田優子さんとの対談がめっぽう面白い。カンパーニュ317の「317」って甲田さんの誕生日だったんだ。などなど豆知識も多数。A女史にお借りしていたまま早数か月。着手したらあっという間に読み終わった。

暮しの手帖 第5世紀8号・9号(暮しの手帖社、2020)

 8号の巻頭。原宿のシーモアグラスには何度か展示を観に訪れたことがある(といっても最後に行ったのは十数年前だと思う)。コンピCD(空気公団「コーヒー屋のおねえさん」収録)は手放してしまったようで見当たらないのだけど、空気公団の「おかいもの展」のLPはまだ手元にある。音楽つながりで、松重豊によるマイベスト10の紹介ページ。凡そ暮しの手帖らしからぬテンション(褒めてます)だったのが印象的。

 9号のジャムの記事。鮮明な既視感を覚えたのは、読み終えたばかりのルヴァンの本に、作り手の餐場さんが出てきたからだった。あとは8、9号とも「みらいめがね」がいつも以上に響きました。

・住む。27号(特集 集合住宅に住む。)(泰文館、2008)

 Kさんが貸してくださったバックナンバー。デンマークの画家ハンマースホイの記事に興味をそそられて調べてみると、昨年美術館で企画展が催されていた。最近は名前の表記を「ハマスホイ」としているらしい。それにしてもこの時期の住む。は最後まで読みごたえ十分。

 ・岐阜マン/塚原裕基(エムエム・ブックス、2020)

 珍しくマンガも。著者は10年かけて県内の全市町村を制覇したそう。瑞浪の待夢珈琲店には行かれただろうか。

なんとかと なんとかがいた なんとかズ

なんとかと なんとかがいた なんとかズ

  • 作者:安田 謙一
  • 発売日: 2012/12/12
  • メディア: 単行本
 
私は街を歩いた (1959年)
 
ルヴァンとパンとぼく

ルヴァンとパンとぼく

 
暮しの手帖 5世紀8号

暮しの手帖 5世紀8号

  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: 雑誌
 
暮しの手帖 5世紀9号

暮しの手帖 5世紀9号

  • 発売日: 2020/11/25
  • メディア: 雑誌
 

murmur-books-socks.com

雑記(12/30)

 6時半起床。まずは家事をいくつか。しかる後、年内最終営業日のバンブーさんに商品取り置きの電話を入れ、朝食はスキップしてハンドピックと焙煎2セット。焙煎室の掃除を済ませてパンを取りに行き、11時半頃早めの昼食。ちなみに取り置いてもらったのは新作のニソワーズ*1。バンブーさんのサンドイッチは、一捻りありつつ食べ飽きないという絶妙の組み合わせ*2が多くて非常に好みなのである。今回のニソワーズは他のサンド以上に具だくさんで大満足。2020年のサンドイッチ納めに相応しい一品だった。
 だんだんと寒くなってきたこともあり、午後は在宅。ブレンドの試飲をしたり、身欠きニシンを戻したり、久々にちょっとゆっくりできた。小坂さんの「九州喫茶案内」も読了。
 夕食には長いこと冷凍庫に眠っていたノドグロを炊いてメインに。あとは根菜たっぷりの味噌汁、大江さんの人参グリル、高野豆腐煮物、豆腐、Oさんにいただいた蕪の浅漬けと、図らずも古漬けになってしまった自家糠漬け*3

 夜も引き続き読書。秋以降はあまりまとまった読書の時間も取れずにいたので新鮮な感じ。備忘として、ここ2か月ほどで読み終えた本を。

・フランス学序説/桑原武夫(1978, 講談社学術文庫

・酒場の時代 ー1920年代のアメリカ風俗/常盤新平(1981, サントリー博物館文庫)

・読む人・書く人・編集する人 『思想の科学』50年と、それから/記念シンポジウムを記録する会・編(2010, 思想の科学社

・読書のすすめ/鶴見俊輔(1979, 潮出版社

古典落語矢野誠一(1979, 駸々堂ニコンカラー双書)

・「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~/小川さやか(2016, 光文社新書

・何も起らない小説/山田稔(2006, 編集グループSURE

・九州喫茶案内/小坂章子(2020, 書肆侃侃房)

・幻の「カフェー」時代 夜の京都のモダニズム斎藤光(2020, 淡交社

・16日間の日記、29日間の日記/清野 龍、面高 悠、鳥居貴彦、涌上昌輝(2020, たぶんだぶん倶楽部)

 最後に挙げた一冊は京都在住四名による、今春・今夏の暮らしぶりが綴られたリレー日記。活版印刷の風合いもあるのか、小サイズだけれど存在感がある。著者のお一人でもある清野さんからご恵贈いただいた。このエントリが久々の日記風なのは、やっぱり日記は面白いなあと思ったため。

*1:https://bhbamboo.exblog.jp/240749608/ これを読んだら売り切れ必至の予感に居ても立っても居られなくなり、珍しく電話までしてしまった

*2:蒸し鶏と梅シソ×食パン、キャロットラぺと胡瓜×生姜くるみチャバタなどなど。今日は試験販売初日という出汁巻きサンドもゲット。辛子がほどよく効いてこちらも手堅い美味しさ

*3:糠漬け、秋に瀬川さんのところの米ぬかを貰って一から仕込み直しました

雑誌雑感(3)「料理通信」休刊

 今年は100誌以上の雑誌が休刊に至った、なんていうニュースに接し、少々の寂しさを覚える年の瀬であります。

 自分の趣味嗜好とリンクするところでは「料理通信」が、発売中の2021年1月号(特集:ロングセラーの秘密。人格のあるお菓子の作り方、味わい方)を最後に紙媒体の月刊誌発行を休止するそう。興味関心のある分野だけとはいえ、これまで時々は買い求めていた一誌だっただけに残念。そんなわけで今、店のマガジンラックには最新号と手持ちのバックナンバー4冊(後掲)を並べています。 「新米オーナーズ・ストーリー」、「生涯現役の人」、「料理上手と呼ばれたい……。」等々、毎号読みたくなる連載も多かった。なお、WEBメディアとしては存続するとのこと*1、これからも期待してます。

【当店陳列中のバックナンバー】

 2017年8月号 自由に愉しむ!お茶とお菓子
 2018年6月号 これからのパン職人の仕事。
 2019年2月号 菓子好き、道具好き。
 2019年3月号 真似したくなるキッチンVol3

 
 
 
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r-tsushin.com

 休刊に際して、「新米オーナーズ・ストーリー」の井川直子さんがnoteにアップした長文を発見。是非あわせてご一読を。

note.com

*1:蕪木さんの「嗜好品の役割」だとか、既に雑誌本体とは独立した記事も色々

小坂章子さんの新著『九州喫茶案内』 当店にて販売中です

 福岡在住のライター、小坂章子さんが新著『九州喫茶案内』を上梓されました。小坂さんといえば珈琲・喫茶まわりの執筆活動がつとに知られるところであります。店主は数年前にやはり珈琲のイベント*1に関連して知己を得、以来たいへんお世話になっているのです。

 本書については長いこと待ち望んでおり、自分で読みたいのはもちろん、お店でも扱いたいと考えていました。先日お手紙にてその旨申し出たところ快諾いただきまして*2、昨日、著者サイン入りの御本が届いたという次第です。ご覧の通り装丁・装画と帯文は牧野伊三夫画伯*3。中を開けば九州各地の喫茶店がこれでもかと並んでいます。どうにも遠出がしにくそうなこの年末年始、行ったつもりになるのもよし、いつかの予習にするもよし、名店の数々を味わい尽くしましょう*4

*1:数年前って書いたけれど改めて確認したら2014年でした。詳しくは当時の小坂さんのブログ 路地裏喫茶日記 参照

*2:返信には某店の深煎りブレンド豆が同封されていました。もちろんネルで淹れて飲んでますありがとうございます

*3:2020年12月20日付の西日本新聞「随筆喫茶」に、本書帯文にまつわる画伯のエッセイが掲載されています。読みたい方、コピーお見せできますのでお声がけください

*4:なんだかこう、ぺらぺら~っとした売り文句に思えるかもしれませんが、実際、九州は良い喫茶店が本当に多いと思います

珈琲時報(5)

・本日から中深煎りの東ティモールを再開しています。これに伴いコスタリカを中煎りラインに移動。結果、現在の産地別ラインナップは以下の通りです。

 中煎り :エチオピアコスタリカ

 中深煎り:東ティモールボリビア

 深煎り :南インド

コスタリカは水洗式精製のせいか、同じ中煎りでもエチオピア(こちらはナチュラル≒非水洗式)とは対照的な風味です。爽やかな甘酸っぱさとでもいいましょうか。さっぱりした一杯をご希望の方にお勧め。

・後で詳細アップしますが、ついにあの喫茶本が刊行されまして。限定10部ながら当店でも販売させていただきます。著者サイン入りです。

・最後に年末年始について。当店は12/31(木)~1/11(月)まで、定休日の火、水を除いて営業します。ただし営業時間は、平日/土日祝を問わず10~18時です。店頭、ブログともようやく告知しました。

珈琲時報(4)

・豆のラインナップ。先週から東ティモールに代えてコスタリカをご用意しています*1。爽やかな飲み口に特徴があり、中深煎りの中でも少しだけ浅めにとどめるのが良いようです。軽め・さっぱりめがお好きの方はぜひ。
・ちなみに当店の東ティモール、今月は「水曜日の珈琲 ぽたぽた」さんにてお試しいただけます(ご店主さまお声がけありがとうございます)。営業日は12/9、16、23の各水曜日10時〜17時(16時ラストオーダー)、場所は五条のブルームコーヒーさんです。詳しくはインスタグラムにてご確認を。

https://www.instagram.com/dix__neuf

・年末年始の営業についてちらほらお問合せをいただくようになりました。今のところ、12/29(火)と30(水)は定休日でお休み、翌31(木)から1/4(月)までは営業しようかなと思っています。時間はすこし変則的になるかもしれません。近々ちゃんとご案内します。

*1:100gパッケージのみ、店に先駆けて木と根さんに納品していたのですが、更新できないまま一週間経ってしまいました。それにしても最近、更新頻度が下がりすぎですね

【本日ご注文〆切】おもとのオモテ市おたくまで

「万年青のオモテ市、おたくまで」

<スケジュール>
・11月27日(金) 21:00、オーダースタート
・11月30日(月) 23:59、オーダーストップ ← あと10時間くらいで~す
・12月07日(月) 配達(昼頃から夜頃にかけて)

 

omoto2013.com

 いよいよ動き出しました「おもとのオモテ市おたくまで」。オーダー締め切りは本日(23:59まで)です。ご注文予定の方、ゆめゆめお忘れなきよう。

 配達当日の12月7日は月曜日。参加店の中には主催の串揚げ万年青をはじめとして月曜定休のところもいくつかあります(青おにぎり、喫茶ホーボー堂、アジアの料理たけふさ、ベジサラ舎・・・けっこうありますね)。月曜定休でなければ行けるのになーなんて方にとっては、配達までしてもらえる今回の企画ってすごくお得なのではないでしょうか。

 ちなみに当店はオモテ市ブレンドと銘打ちまして、ここだけ限定のブレンドをご用意しましたよ。どうぞよしなに。

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